店長が血相を変えて駆けつけた。ん?見た顔だな・・


俺は、自分で言うのもなんだが、気さくな性格。
だから、三井住友VISAカードを提示するとどういう事態になるかはもう
嫌になるぐらいわかっている。だから普段、国内ではJCB提携の
アメックスセンチュリオンで統一している。

この歳になると、お金で買えない価値があることに気づく。
生き馬の目を抜き、勝ち残ってきた俺。
その中で、数々の親しかった友を裏切ったことも一つや二つじゃない。
仕方ないんだ。そうしないといけない世の中なんだ。
そう何度も何度も自分に言い聞かせるが、ときたま、後悔の念とともに、夢の中で
楽しかったあの夏の日が思い出される。

カードなんて、何も持たなかった。
一本20円の駄菓子屋のおでんを買うか買わないかで20分は苦悩した。
みんなで鬼ごっこしたり、自転車でちょっと遠くまでみんなで旅に出た。
歳を経るごとに、裏切り裏切られ、現実を生き抜く知恵だけは上手くなっていく
引き換えに、大切な何かをどこかに置き忘れていたような気がしていた。

そう頭の中で取り返せないあの日の思い出がぐるぐる回っていたある日、
僕は、一人で高級居酒屋で飲んでいた。
会計のとき、いつものように、アメックスセンチュリオンを出そうとするが、
たまたまどうしてかそのとき、みつからなかった。
今はほとんどカードで支払いしているので、キャッシュは1000円札3枚程度しか
持っていなかった。ツケとか嫌いな俺はどうしたものかと、もう1度、財布を
確認してみた。そのとき、三井住友VISAカードを発見した。
どういう事態になるかは、わかっていたので、いつも提示するのをためらっていたが、
財布の奥に静かに眠っていた。

やむをえないので、仕方なく提示する。そうすると、例のごとく、店員は平伏し、店長を呼びに行く。
店長が血相を変えて駆けつけた。ん?見た顔だな・・ああ、、
今、思えば、ちょっとした話の食い違いで喧嘩して、そのまま引越しで別れてしまったその古い友人の顔があった。

そいつは俺を覚えていないようで、例のごとく地面に平伏し、頭を床にこすりつけて、
「高い地位と身分を証明するステータスカードである三井住友VISAカードをお持ちのお客様に御来店頂けるとは光栄です」
と、いつもの対応をする。ほとほと困り果てている俺は、『いいから頭を上げてください。カードのひとつやふたつ
何でもないのですから』店長はそれでも、顔を上げないでいる。そのまま10分は頭をこすりつけてたね。
その後、ようやく顔を上げたとき、俺とそいつの目があった。あの懐かしい人懐っこい目は変わらなかった。
『久しぶりだな。』俺は声をかけた。そいつもようやく気づいたらしく、昔のままの口調で返してくれた。
その後、俺たちは閉店後、二人で飲みなおしに行った。昔のあのこと、それからのこと、色々語り合った。

そして、大人になった俺たちは、過去の件はくだらないことで、あれから、連絡がとりたくても
俺はブラジルに引っ越してしまっていて、音信不通になってしまっていたこと、あやまりたかったこと。
お互い、納得がいくまで話し合った。

30年前のあの夏の日のことを思い出して、枯れ果てた瞳に涙が滲んだ。

とにかく、俺はこのときほど、三井住友VISAカードに感謝したことはない。
お金で買えない価値がある。買えるものは三井住友VISAカードで、と言いたい。
店員が上辺だけの対応をするだけじゃなく、こういう掛け替えのない出会いを演出してくれる三井住友VISAカード。

「いやあ、全くどえらいカードだよ」


─ あなたの財布にも、伝説を。



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